ある日「弟者(大)がバイクにはねられた」という衝撃的なニュースが我が家に飛び込んできた。自転車に乗っていてバイクと正面衝突したらしい。家族の誰もが「弟者は大丈夫か?」ではなく「なぜ自転車がバイクと正面衝突?」と思った。
以下は弟者(大)自身の回想による。
- ある晴れた昼下がり、弟者はママチャリにのって見晴らしの良い、広い道路を走っていた。田舎の道路なので当然走ってるのは弟者のみである
- そこに正面からバイクがやってくるのが見えた。バイクも弟者の自転車に気づいたようだった
- 道の真ん中を堂々と走っていた弟者は、ゆっくりと左側に避けた
- バイクも右側(つまり弟者がよけた方)に避けた
- 「いかん」と思った弟者は右側に避けた
- バイクも左側(つまり弟者がよけた方)に避けた
- 「いかんいかん」と思った弟者はあせって左側に避けた
- バイクも、、、(以下略)
かくして何の障害物もない、見晴らしの良い道での、自転車とバイクの正面衝突という起こるはずのない事故は起きた。
弟者にとって厳しかったのは、最終的にぶつかった際に弟者が右側(つまりバイク左側)に避けた状態であったことである。言うまでもなくこの社会で車両は左側走行が原則であり、何かあればお互いが左側に避けるべきなのである。従って、この正面衝突は基本的な原則に逆らったアウトローな弟者に大いに責任があり、というわけで弟者に金銭的な補償は一切なかったという。
幸いなことに、互いにスピードはそれほど出ていなく、弟者の怪我はかすり傷程度であった。以後周囲からは「自転車でバイクに正面衝突する勇敢な男」として哀れみを買った弟者である。
そんな弟者が先月、海外へ旅立った。かの国では車は右ハンドル、車両は右側走行と聞く。兄者として、今、弟者に伝えたいのは「今度は右に避けろ」ということ。そして「体に気をつけて夢をかなえてこいよ」ということである。