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Nov 1, 2011

神保町・竹橋ランチ戦記

さかのぼること6年前、転職して神保町で働くことになった。僕は途方にくれた。それまで働いていた目黒は飲食店も弁当屋も選びたい放題だった。美味しい店、安くて量の多い店なんでもあった。ところが神保町は通りを歩いていても店が少ない。
「食べるところがない」それが最初の印象だった。それから6年、いろいろと試したあげくだんだんと定番のお店ができてきたのでまとめてみたい。

魚楽洞

神田の隠れ和食店でその名の通り魚料理がうまい。刺身定食や金目鯛煮付け定食などの定番は値段(800-1000円)に見合った整ったお味。この店のすごさは季節毎に用意されるメニューもほぼ間違いなく美味しいことである。牡蠣フライ定食とかうまかったなぁー。平均点の高さではこの近辺では頭一つ抜けた感じがある。
ちなみに取引先のベトナム人を連れて行ったら、奧から店主が出てきて臆せず日本語で「私は昔大使館でも料理したことあってね!」と説明をしてくれて、その言葉の技巧を超えたコミュニケーション能力に圧倒された記憶がある。

この日のメニューはロールキャベツ。プロが作るのは全然違う。

ティーヌン神保町店

一見入りにくい地下への階段を下りると、しごく狭い店内にタイの小物がこれでもかと飾ってある。それがティーヌン神保町店である。
ここではトムヤンクンラーメンがオススメ。すっぱ辛いスープに麺は極細、中細、太めのビーフンもしくは中華卵麺から好みで選べる。確か850円。その他ガパオの持ち帰りなども忙しい時には便利。
トムヤンクンラーメンが好きすぎて、週に一度はティーヌンに行っている。先日海外出張中でしばらく食べられなかった時には夢に出てきた。それくらい好きだ。

ティーヌンのトムヤムクンラーメン。もやしトッピング

グリーンパッタイ

靖国通りからちょっと裏に入った路地のタイ料理店。いつも女性グループが多く、賑わっている。ランチはあっさりタイラーメンとガパオのセットで890円。ボリュームがあるのでお腹がすいている時によくいく。どのメニューも日本人好みにアレンジされていてパクチーが最初からのせられている料理はみたことない。
席のバリエーションが多く2人でも8人でも自在に対応してくれるのも嬉しい。

覆面 智

神保町からほど近い、看板を出さないラーメン店。細めの縮れ麺に、魚介中心の非常に濃厚な出汁のスープを合わせる。覆麺(正油)780円が定番で、麺の量は200gがこの店の「普通」である。
このスープを塩辛すぎて飲めないと思うか、うまみが凝縮されていて堪らないと思うかは人それぞれ。僕はとてもうまいと思う。初めての人は麺少なめをオーダーして様子を見よう。店主は多分「いやいや普通盛りいけるでしょ」と食べさせようとするでしょうが。
昔は会員制で、店主も覆面レスラーのような有様だったが、最近はだいぶビギナーにもやさしい雰囲気を出すようになってきた。そうこれでも大分やさしくなっているのだから文句を言わずに食べて欲しい。
不定期にある塩ラーメンの日はとくに混むので注意。

二代目つじ田 神田御茶ノ水店

神保町からはかなり遠い小川町駅にほど近いラーメン屋。定番はつけ麺(880円)である。麺に半切りになったすだちが添えられていて、これを麺にしぼることで濃厚なスープと甘みの強い麺でもったりしそうな口の中がさわやかになる。最初に考えた人に拍手!
京都産の黒い胡椒もあり、これもよいアクセントになる。
注意点はランチでいくには遠く、たいてい行列ができていることである。雨の日などにピークを外してささっといく店。

のらぼー

神田神保町エリアに点在するうどん屋。店舗によって多少メニューが違う。ランチセットか鳥天おろしうどんがおすすめ。鳥天おろしの天ぷらは脂たっぷりの鳥もも肉をつかっている。カリカリ衣と柔らかい鶏肉とうまみのぎゅっとつまった脂の組み合わせが最高にうまい。塩をちょっとふるとさらにうまい。この天ぷらだけ頼もうとしてもトッピングの天ぷらメニューにはかしわ天しかない。というわけで鳥天をたべるために鳥天おろしうどんを頼んでいるのである。いわばうどんはオマケだ。
なお夜メニューのハルピンキャベツは柔らかい発酵臭とキャベツの甘さのコンビネーションが最高である。試して欲しい。

のらぼーの昼定食

丸香

讃岐うどんの超有名店。11:30から14:00まではだいたい行列ができているので、昼食をちょっとずらしてとれる時にだけ訪れることにしている。
うどん、そばの美味しい店は求道者的なストイックさがあることが多いが、丸香は明るい体育会系の雰囲気で安心である。
僕の定番はかけうどん(380円)にげそ天(180円)。釜揚げうどんに卵と生醤油で食べる、釜たま(460円)も人気が高い。

やきとり屋神保町

狭い路地にある「やきとり屋」というひねりの無い屋号の焼き鳥屋である。このパターンは外れのお店が多いと思われるかもしれないが、どっこいこの店は穴場である。
メニューをみながら迷う楽しみは存在しない。あなたの選択肢は3つ親子丼(小)、親子丼(中)、親子丼(大)でいずれも900円。要は親子丼しかない。
それでも新鮮な鶏肉とオーダーのたびに一つ一つ丁寧に用意されるとろとろ溶き卵のコンビネーションは抜群である。二階席で接客しているお姉さんを僕はひそかに「神保町の佐々木希」と呼んでいるのはどうでも良すぎることである。
これが「小」、小はサラダがつく

まぐろ市場 神田小川町店

マグロを使った丼を出すチェーン店。オクラ、納豆、いかなどがちりばめられたバクダン丼(590円)がうまい。いや特別うまいかと言われるとそうでもないかもしれない。変哲もないバクダン丼である。つまり僕は特別バクダン丼が好きなのである。のり汁(50円)をオーダーすると満足度はさらに高い。

カギロイ

古い日本家屋を改装したおしゃれな鉄板焼き屋。むしろ夜がおすすめである。味噌にこだわっていて、ランチは豚味噌漬けを焼いたの(900円)がうまい。味噌汁も日によって味噌を変えたりと工夫をしているようだし、ご飯もつやつやと光っている。カウンターでも二階席でも独特の雰囲気が味わえるはず。ただし二階席は正座に慣れていない外国人は連れて行かない方がいいかもしれない。そういえば大震災の翌月曜(3/14)に会社の同僚とここにご飯食べにいったが、あの日だけは鉄筋コンクリートのお店にいくべきだったかもしれない。
日本通な外人はよろこぶ

担々麺本舗 辣椒漢

比較的新しい担々麺の店。日本式にアレンジされていないオリジナルの担々麺を出すのが売りである。担々麺は汁がなく、酸っぱくて辛い。それもただ辛いのではなく、口の中がビリビリしびれる辛さである。辛いモノはそこまで好きでないという人も一度あのびりびりを味わう価値はあるんじゃないかと思う。ただ麺の量が少ないのでいつももう少し食べたいなぁと思いつつ店を出る羽目に。
午後に面倒なミーティングがある日に一人でいって、黙々とビリビリをやっつけ、午後のネチネチに備えるのであーる。
正宗坦々麺850円。僕が好きなのは酸辣伴麺850円。どちらも辛い。

キッチン南海

スズラン通りにある老舗の洋食店。定番はルーがドス黒いカツカレー(700円)である。脂っこい料理は苦手だが、南海では揚げ物には必ずキャベツの千切りが添えられていて、するっと食べられてしまう。カレーの次に好きなのは生姜焼きかイカフライ(どちらも700円)。
冬の寒い時期には、南海の熱々カレーと店内の熱気で暑苦しくさを感じつつ食べ終えて、店を出た時のひやっとしたさわやかな風を楽しむのがよい。
なお適当そうに見える接客担当のおばちゃんがどうやって注文を覚えて、客をさばいているのかは神保町七不思議の一つとされている。

新世界菜館

神保町は歴史ある中華料理屋が多い。その多くは歴史だけが売りでぱっとしない。冷やし中華発祥の店として名をはせているあの店などは、僕の中ではイマイチな店リストに入っている。そんな中で新世界菜館はいまも元気に美味しい料理を出してくれる安心感の高い店である。ランチは1200円と高いが値段に見合った上品な中華を出してくれる。さらにこの店はカレーもうまい。こんな正統派の中華料理屋でカレーというのもおかしいが、一度は試す価値あり。
このエリアには松岡という中華の名店があったのだが、閉店してしまった。新世界菜館の価値がさらに高まった。

大戸屋 神田神保町店

言わずとしれた定食チェーンの大戸屋は神保町にもある。なぜか、ひじきご飯がたべたくなるときが3ヶ月に1度くらいあり、ひじき目当てに行列にならんでしまう。

百人亭 竹橋パレスサイド店

毎日新聞社ビル(パレスサイド)はランチ不毛地帯である。ビルの地下には場所がいいというだけでお客が入ることに慣れきった緊張感のない飲食店がたち並ぶ。かと思えばマクロビの店のように気合いが入りすぎて客がリラックスできない店もあり、控えめに言ってテナント選んでいる人はセンスが悪い。多分ぼくらは問われているのである。
・皇居を見下ろすレストランアラスカで世界経済を語りつつ3000円のランチを食べるのが幸せか?
・近くのホットモットでのり弁当(290円)を買って皇居の広場で青空を見上げて食べるのが幸せか?
ランチごときで生き方にまで話が飛躍するパレスサイドビルおそるべし。。。
さておき百人亭はそんなビルの中にあってわりと使い勝手の良い店である。まず店内が広い。そして牛タンととろろを出すのは近辺ではここくらいだと思う。高度経済成長を支えた歴戦の猛者達と、彼らが遠慮なく吐き出すタバコの煙はご愛敬。「末席をよごさせている」という自覚をもちつつ、牛タンを噛みしめるのがこの店でのマナーである。

矢の根寿司 神田錦町店

美味しい鮨屋はたいてい敷居が高い。矢の根寿司は個室が多く、カウンターで大将に監視されることなく同僚とわいわい美味しい鮨を食べられるという店においてポイントが高い。
ランチの握りは1000円から。

アルカサール

肉料理の店だがハンバーグしか頼んだことがない。ハンバーグを頼むと、外側だけ軽く火をいれた俵形のハンバーグが鉄板に乗ってやってくる。店員さんがそれを目の前で真っ二つに切り、生の部分を鉄板におしつけ、ソースをかけてくれる。ジュワーという音をききながら30秒ほど待つとだいたい食べ頃。
ランディ(http://r.tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13000283/)の方がうまいというブログをみたが、同感である。ただランチは近さや入りやすさも重要ということで。




現在定番に加えるべき店を鋭意新規開拓中なのでアドバイスもとむ!