数日前に書いた【奇跡の弟者】 弟者、交通事故にあう と対をなすエピソード。前の記事を読んでない方はまずそちらを一読されることをおすすめする。
我が家には弟者(おとじゃ)が2人いて、弟者(大)がバイクと正面衝突をするという事件があった。この話はその数年後。こんどの主役は弟者(小)、当時確か高校生である。
ある日、弟者(小)から「デパートの駐車場を自転車で走っていたら車にはねられた」という衝撃的な電話があった。電話をかけられるくらいなので弟者(小)の命に別状はないとはいえ、母者は現場のデパートの駐車場へと急いだ。
既に弟者(小)と「弟者(小)をはねたボケナス」と警察による現場の確認が行われていた。母者はまず弟者(小)に事情をたずねた。
弟者(小)が答える。
1. デパートの駐車場をそれほどスピード出さずに直進していた
2. と、突然弟者(小)の左側から車が現れ、避けるまもなくはねられた
3.命に別状はないが、自転車のフレームが曲がるくらい激しい衝突だった
傍らには、乗れないくらいに変形してしまった自転車がうち捨てられている。
この状況を見た母者の心境はご想像いただけると思う。
普段は心優しい母者が怒った。そしてボケナスと警察に詰め寄った。駐車場のような場所でスピードを出すのは言語同断であると。自転車に気づかないとは何事だ?ちゃんと前みていたのですか?と。
もっともな言い分である。ボケナスはぐうの音もでないようだった。みかねた警察官が間に入る。「・・・う~ん、お母さんちょっと(弟者をはねた)車もみてください。」
言われてボケナスの車を確認する。あれほど強く弟者(小)をはねとばしたにもかかわらずフロントのバンパー、ボンネットにはかすり傷一つない。横にまわってみる。運転席の扉は何らかの外からの強い衝撃によってベッコリへこんでいた。
どう見ても、車に対して弟者(小)が横から猛スピードで突入した形跡です。本当にありがとうございました。
母者は振り上げたこぶしを下ろす場所がなくてつらかったらしいが、弟者(小)を何度問い糾しても記憶が曖昧で埒があかないので仕方ない。ボケナスと警察に謝って帰宅したという。
ちなみにこの件、数年経った今も、弟者(小)は自ら車に自転車で特攻をしかけたと認めていない。真相は藪の中なのである。
一つだけ確かなのは、兄者が今後、交通事故にあうときに弟者2人を超えるおもしろエピソードに巡り会うことはないということだ。当時の母者の対応も含めて【奇跡の弟者】に相応しいエピソードのように思える。