「おじいちゃんのパソコンの調子が悪い。時間があったら見て欲しい。」母親にそう言われて、車で30分ほどの距離にある祖父の家を訪ねました。
たまに田舎に帰ると、ITセキュリティに偏っている僕の知識は価値が無いのです。プリンタのインストールや無線LANの設定などのつまらない仕事が専門知識の生かせる数少ない場というのは悲しい限りです。
さて今回見た、祖父のパソコンは起動の途中で「プツン」と音をたてて、画面が動かなくなるというものでした。OS以前の問題でハードウェア、特に電源周りが怪しいと感じて、調べること数十分。やはり原因はゆるんで接触不良をおこしている電源コネクタでした。
上の写真のように爪楊枝を挟んで、コネクタを後ろの方に傾けると、問題なく動くことが分かりました。
技術的に正しい解が本当に正しいとは限らない
この場合、電源コネクタがぐらつくのですから、「修理に出すか、買い換える」ことを勧めるのが技術的に正しかったのかもしれません。一方で、祖父母の生活やパソコンの使い方を考えたらパソコンの買い換えや修理に出すのは避けたい事態です。迷ったあげくこうすることにしました。↓
爪楊枝は不安定なのでケーブルをパソコンの背面に這わせました。パソコンを修理にだすことなく、新しい部品を買うことなく、ガムテープだけで応急処置ができたので、大変感謝されました。
なんのための知識か?
最新のパソコンにかこまれたオフィスで、優秀な人たちと働いていると技術的な正しさに囚われやすくなります。結果困っている人を助けようという気持ちが薄れてしまうわけです。彼らはきっとガムテープでその場をしのぐような応急処置を嗤うでしょう。しかしあらゆる選択肢を考慮した結果、今回はこれが最も顧客(祖父母)が求める形に近かったのです。
昨今、頑張っているITエンジニアが社会的に評価されないという指摘がありますが、ここらで僕らの仕事がどれだけの困っている人を助け、社会を幸せにしているのかを振り返るべきかもしれません。ガムテープという解決策に心の底から満足している様子の祖父母と話しながらそんなことを考えていました。
自己満足ではなく誰かの役に立つ仕事をするという気持ちをあらたに、また東京で分かる人にしか分からない仕事に励みたいとおもいます。