近所を歩いていたら、小学生くらいの女の子が「○○ちゃん?今からお楽しみ会にいくんだけど、・・・」と携帯で友達と話しているのを耳にした。早口に弾んだ声、今にも駆け出しそうな姿。彼女はとても幸せそうであった。
妄想の羽を広げ、なぜか自分がその子供会のお楽しみ会に来賓として招かれ、まかり間違って挨拶を求められたときのスピーチ原稿をここに載せる。
>> スピーチはじまり>>○○地区子供会のみなさん、こんばんは! ・・・お、元気な挨拶ありがとう。
本日子供会主催のお楽しみ会にご招待いただきましたこみやまと申します。正直に言いますと私は今、このお楽しみ会に集まった皆さんの純粋な心に感動しております。みなさんにはその理由が分からないと思いますので、今から説明させていただきたいと思います。
今日はみなさんが待ちに待ったお楽しみ会です。お歌の時間、ハンカチ落とし、その後プレゼント交換が予定されているそうですね?どれも楽しみですね。ワクワクしますね。こんな楽しいこと大人もやればいいとおもいませんか?私はそう思います。ところが大人はお楽しみ会をしません。なぜでしょうか?お楽しみ会を開いたのに、もし楽しくならないと困ってしまうからです。だから大人はお楽しみ会をしたいときにはコンシン会やシンボク会、サワ会というものを開きます。難しい字なので私も漢字では書けません。大事なのはコンシンという難しいことをする会なので楽しくなくてもよいいうことです。
おなじように大人は合コンをしません。合コンを開いたのに、相手チームがブサイクばっかりでその後につながらないと哀しくなってしまうからです。だから大人は合コンをするときでも、それを飲み会と呼びます。本来の飲み会とは文字通りお酒を飲むだけの会のことです。
こんな場面を想像してください。
綺麗なお姉さんとの合コンのあと、誰一人として電話番号を聞けずに終わってしまった大人はドトールで意気消沈の反省会をしています。
「あのギャグはない。右端の子が明らかにひいてた。」
「ていうかお前の秋葉グルメ話こそ、すべりまくってたから!」
「なんで店がセンター街の甘太郎なんだよ、幹事?」
汚い大人同士の責任のなすりつけあいです。しかしそんな時にだれかがこう言うのです。
「いや、まぁ今日は単なる飲み会だから。」
この一言には、「今日は合コンじゃない。楽しくお酒を飲むだけの会。だから電話番号の交換や二次会のカラオケとか必要ないんだよ。俺たちはなにも悪くない。明日からも頑張ろうじゃないか。」という大人の祈り、あるいは自らへの赦(ゆる)しの気持ちが込められているのです。本当は合コンなのになぜ飲み会と呼ぶのかわかったでしょうか?私は現在三十歳になりました。楽しいこと、つらいこと、哀しいこと、うれしいこと。色々な事がありました。哀しい経験を経た大人は何かに挑む前に失敗した時のいいわけを予め用意するのです。そう大人は失敗することを前提に生きているのです。
そんななか皆さんは、果敢にも「お楽しみ会」をされます。ここに立って、お話をさせていただいて、お楽しみ会を文字通り楽しくしようという皆さんの熱い気持ちをヒシヒシと感じます。そうです!失敗を恐れてはいけません。「叩けよ、されば開かれん」という昔の言葉にあるとおり、大きなことを成し遂げるには挑戦する気持ちが大切です。私もここにいる○○地区子供会のみなさんと一緒にぜひこの会を真のお楽しみ会にすべく微力ながら全力を尽くしたいと思います。
以上、はなはだ簡単ではありますが、お楽しみ会に寄せる言葉とさせていただきたいと思います。
<< スピーチ終わり<<
お楽しみ会を企画されている全国の自治会/初等教育機関の関係者様、こんな私でよければ、ご招待いただければいつでも馳せ参じます。