半年ほど前表参道を歩いていたらタンタンのキャラクターショップがあったのでふらりとよってみた。タンタンとスノーウィのグッズが所狭しと並ぶ店内では、お約束のように原作が販売されていたので、目に付いた2・3作を買ってみた。
1900年代前半のベルギー人の感覚で書かれているため結構表現が際どい。
土人とはかいてないけれども、明らかに野蛮で程度の低い原住民の様子が描かれていたりする。我々日本人も相当辛らつなタッチでかかれている。下の写真は『青い蓮 タンタンの冒険旅行14』の一幕。
結構な書かれようである。最初に読んだときにはびっくりした。ストーリー自体がおそらく盧溝橋事件をモデルにしており、狡猾で残忍な日本人という描写が続く。公式ページに以下のような記載があることからも、その政治色の強さは想像できる。
-1939-
「青い蓮」で中国人の立場にたって物語を描いたことから、そのタンタンの生みの親である
エルジェは蒋介石夫人より中国へ招待される。
小学校の頃、図書館においてあったタンタンシリーズをよく読んでいて、当時は気づかなかったのだが、これは小学生に読ませる本ではない。こんな本をオシャレグッズのフリして販売しているタンタンショップは相当神経太い。
そんなわけで、現代の感覚にはそぐわないだろうなと思っていたら、案の定タンタンシリーズが海外で物議を醸しているらしい。
ブリュッセル26日時事
世界中で親しまれているベルギーの漫画「タンタンの冒険」シリーズの1作をめぐり、植民地主義的で人種差別的な表現が目立ち、動物虐待も目に余るとして、各国でボイコットや訴訟など抗議の動きが広がっている。
問題の1作は、1930~31年に発表された第2巻「タンタンのコンゴ探検」。主人公の少年記者タンタンが愛犬を連れて当時のベルギー領コンゴ(現コンゴ民主共和国)に出掛け、さまざまな危機を切り抜けて冒険する筋立て。
作者エルジェ(1907~83年)の視点には当時の植民地に対する偏見に満ちた見方が色濃く反映されており、現地住民を怠け者で劣った人種として描いている。また、野生動物を虐待したり殺したりする場面も多い。時事ドットコム:タンタン騒動、各国で広がる=人種差別と訴訟も
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007082700025
同じく酷い書き方をされて国の一人として、抗議の動きが出るのは理解できる。反面、これはこれで歴史の一部なので、絶版にするなどの過剰な反応がなされないように祈りたい。タンタンやチビクロサンボをこの世から消し去ったところで人種差別がなくなるわけではないのだから。