日本人は何をめざしてきたのか ー知の巨人たちー 第2回は
番組の最後を、鶴見俊輔が平成9年にこたえた以下のインタビューで締めている。とてもよい言葉なので書き起こす。
私にとっては戦後50年よりも戦中の方が重いんですよ。
その戦中のほうが重いという感覚が重大だと思う。
問題はね、真理は間違いから逆算される
こういう間違いを自分がした
その記憶は自分の中にはっきりある
こういう間違いがあって
こういう間違いがあった
今もこういう間違いがある
だけどこの間違いの道がこうあって
それがゆっくり考えていけば
それがある方向を指している
それが真理の方向だ
だから真理は方向感覚と考える
その場合には間違いの記憶を
ぎゅうっと持ってることが必要なんだ
これは消極的能力なのよ それはね
<中略>
敗けたことは忘れない
失敗したことは忘れない
これは消極的能力だ
原爆に撃たれた我らという考え方を強く持つ
そこからやる
戦中のさまざまな記憶を保ち続ける
そこから
それが未来だと思いますね
鶴見俊輔 平性9年3月放送 NHK「未来潮流」より