新しい技術はどこで生まれるのか? 不景気を突破できる技術を生み出す頭脳はどこにあるのか?
久々に[可視化][visualization]についてのエントリー。マッキンゼーがまとめたデータが面白かったので紹介したい。各都市ごとに特許取得数と企業数や業種を比較し、傾向を分析している。データが古いが。
引用元: Building an innovation nation 大きな画像はこちら。
図の見方:
- 緑の円がそれぞれ都市を表す。円の大きさは2006年の特許取得数を表す。
- 縦軸は米国特許取得数の平均増加率。上にいくほど特許取得したが「伸びている」都市である。
- 横軸はその企業とセクターを表す。右に行くほど複数企業が複数のセクターで特許を取得する「多様性のある」都市を意味する。
これをみるとシリコンバレーは今(2006年)も新しい研究開発が繰り広げられる熱い都市であるようだ。そして個人的には東京がかなり健闘している気がして嬉しい。増加率はそれほどではないものの、2006年の取得数はおそらく上位3位以内である。幅広いセクターで特許が取得されている点とあわせて、様々な相乗効果が生まれる可能性を持つエキサイティングな都市と言えるのではないだろうか。
「伸びている」都市はどこか? 目立つのはブリスベン。
既に成功を収めている都市に対して赤丸急上昇都市はどこか?というのも興味深いポイントである。残念なことにグラフには一部の都市のみしか名前が掲載されていない。目に付くのはオーストラリアのブリスベンだ。グラフの左上の方に登場している。ここに位置するということは 1)特定セクターや一部の企業が 2)特許取得する数が急増している 状態を意味する。オーストラリアに研究開発のイメージはないので意外に思われるかもしれないが、ブリスベンの一部産業は盛り上がっているのである。
ブリスベンではここ数年勢いのあるベンチャー企業がいくつか生まれている。僕の知っている範囲でRSAセキュティはブリスベンに比較的大きな研究開発のチームを置いているし、QT Software(Trolltech)もブリスベンで一部の製品開発しているらしい。またITよりもむしろ、メディカルサイエンスやナノテクの分野で頑張っている新興企業が多いそうだ。彼らを引きつけるのは温暖な気候とUniversity of Queenslandはじめとする教育機関の存在だろうか。
正直「ブリスベンが南半球のシリコンバレーに」なんてことはあり得ないと思う。DNAレベルでおおらかなオーストラリアでビジネスとしての成功を収める企業があらわれるとは思えない。また悪名高い通信インフラの貧弱さは今後の成長阻害要因にもなると思う。
でもいいじゃないか! ごみごみした東京、刺激的すぎるシリコンバレー、汗くさいインドとはまた違った発想から新たな技術が生まれてくることを期待したい。グダーイ(Good day)とか言いながらね。
先週訪れたUniversity of Queensland