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Jan 3, 2019

12月の光景

2018年。年間102日の出張、飛行機で地球を5週分した。そのわりに病気や風邪がなかった。1年を通して動けなかったのは、親知らずを抜歯した翌日だけである。思うように働けたのは幸せなことだと思う。

長くなると誤字脱字が増えるが、大目に見ていただきたい。

2018/12/1
昼頃、チュニジアからミュンヘン経由で羽田着

帰りの機内では出張報告書をほぼ書き終えてから、スコット・ギャロウェイ「GAFA」を読了。東洋経済が激推ししていたので気になっていた。Google、Apple、Facebook、Amazonの成功を解き明かす。本書の特徴は、徹底してそれぞれの企業のテクノロジーに触れないことである。財務政策、節税、マーケティング、広告、製品戦略などに成功の理由を見出していく。テクノロジー企業の成功の解説としては異色。語り口は巧みで読み物として面白い。 ただこれらの企業は製品が、テクノロジーが素晴らしかったというのが一番の成功のカギだったという自分の考えは揺らがない。

2018/12/3
客先へ直行して、打ち合わせ。その後、新オフィスへ初めて出社。新しいオフィスは快適の一言である。前のオフィスより空気が澄んでいる気がする。環境は重要だ。きっとよい成果がついてくると思う。

夜ISC2のセミナーへ。日本国内で活躍されている方のプレゼンはどれも巧みである。うまい。夜の懇親会で12年以上CISSPという資格を持っている人に記念品が贈られた。自分も記念のグラスを頂いた。資格は持っていることに越したことはない。特に初対面での印象には影響すると思う。

2018/12/5
朝一番で六本木のホテルで朝食を兼ねた打ち合わせ。朝食を食べずに家を出て満員電車に揺られるのはつらかった。

夜は学生時代のクラスメートのお誘い。金融業界でセキュリティをされている大学OBの方との食事会。新鮮な顔ぶれで面白かった。銀座の歌舞伎座初めて前を通った。



2018/12/7
ハードウェアのセキュリティについて勉強するために、専門家に時間をとっていただいてヒアリング。が、電車の遅延で自分だけが30分遅刻するという大失態をおかす。
非常にいい話がきけたが、一番良かったのは専門家たちが楽しそうに技術的な課題に向き合っているところ。

「2-3年で終わる1つの技術世代の間にグローバル市場に出ていくには、1ヶ月で何百万台も動かせる(注:生産できる)サプライチェーンと流通チャネルが必要だ。(中略)小規模イノベーターはテクノロジーマーケットに近づけなくなっている。」
(バニー・ファン,「ハードウェアハッカー」,p239)


ハードウェアの知識は、セキュリティという小さなエリアにとどまらず、技術のリーダー全てに求められるようになる。というか既になっているのだろう。「抵抗」が何をしているのかよくわからない自分に、この分野でなにかできることがあるのか? しばらく自問する必要がある。

2018/12/8
毎年恒例ご先祖のお墓参り。今年は全員参加で賑やか。冬晴れにそびえる富士山が美しかった。



2018/12/9
箱根のホテルをチェックアウトしたあと、猿回しを見に行く。猿まわし師のトークがすごい。猿の芸と猿回し死の話術のコンビネーションが猿まわしの本質なんだなと。その証拠にトークが理解できない子供は途中で飽きてしまっていた。

帰宅後、年賀状の発注などを。

2018/12/10
スーツケースを持って会社へ行く。夜は最近日本の会社に転職して東京に来た友人とディナー。筋金入りのアメリカ人と厄年について語り合う。
その後、品川付近のホテルに宿泊。翌日の道順を確認して寝る。疲れてたのになかなか寝れなかった

2018/12/11
ホテルから品川駅近くの某大学のサテライトキャンパスへ。大学院の先生の代打として、朝イチのセッションで講演を頼まれていた。STEM(科学・技術・工学・数学の教育分野の総称)が重要であるという全体の基軸に加えて、今回のシンポジウムではどう分野での女性の活躍をどう実現するかというサブテーマがあったらしい。当日知ったことであるが。
「某国は人口わずか2500万程度、GDPの世界ランクでは100位にも満たない。その国が核実験に成功し、人工衛星打ち上げロケット(および大陸弾道ミサイル)を所持し、米大企業へのサイバー攻撃を企てた。これまさにSTEM分野での輝かしい成功の例である。」という趣旨の発表をしたら明らかに司会者が戸惑っていた。某国をSTEMのお手本にはできないらしい。

10時半の最初の休憩のタイミングで中座して、羽田空港から台北へ。

台北は温かく、過ごしやすかった。夜は近所の辛いラーメン屋さんへ。火鍋にもよく入っているアヒルの血を固めたものが美味しい。

長い一日をコンビニのおでんとビールで締める。リラックス。

2018/12/12
朝から取引先を訪問。打ち合わせには素敵なケーキが用意されていた。お昼は地元の人で賑わう牛肉麺の店に連れて行ってもらう。付け合せのミミガーやらの煮物が美味である。


午後はホテルで深夜の会議の予習。
AIとサイバーセキュリティというあまり考えたくなかったテーマについて、自分の意見を持てる程度に勉強しないといけない。レポートをいろいろ読んだ。次の3本がおもしろい。その1その2その3

夕食は同僚が調べてくれたタクシーで10分ほどの夜市で海鮮をつつく。その後担々麺風の激辛麺の店で締める。同僚と二人だけでご飯に行ってじっくり話す機会も貴重である。

夜11時からヨーロッパとアメリカの専門家と割と神経使う電話会議。予習の成果はあまり活きなかった。

2018/12/13
HITCON初日。オープニングセレモニーを聞いていると、日本からの参加者の多さに驚く。30-40名はいるんではないだろうか。日本ではCyber Initiative Tokyoという会議が開催されている。そっちの集客はどうなのか心配になる。
午後は控室で昨晩の電話会議の宿題をする。



夜23時からアメリカ東海岸に出張中の同僚と、訪問先の会社の人と、日本にいる同僚と、台北にいる自分の3箇所で電話会議をする。1時間ほどで聞きたいこと・話したいことを先に済ませて寝落ちする。

2018/12/14
朝一番で急遽アポがとれた取引先を訪問。その近くでたまたま見つけた「爆弾おにぎり」を食べる。会議がおわってから、即HITCON会場に戻って、講演の準備。スピーカー控室が広々していて仕事しやすい。
ちょうど30年を迎えたCSIRTの歴史、PSIRTに代表される拡大するCSIRTの役割などについて30分ほどの講演を行う。

講演後の空き時間で会場横の誠品書店で家族へのクリスマスプレゼントを購入。自分にはJia-Inc.comの茶こし付き水筒を買う。デザインがスッキリしててかっこいい。これで頂くばかりで自宅にストックされている茶葉を手軽に楽しみたい。
画像は製造元サイトより



夜は会場でカクテル。その後台湾企業が取引先を招待するイベントに顔をだす。

2018/12/15
ホテルの朝食がいまいちだったので、近くの食堂に鹹豆漿を食べに行く。

昼前に空港へ移動。ラウンジで出張の報告書づくりに没頭していたら、フライト逃しそうになる。

新妻聖子がANA HOT HITS SELECTIONというラジオ番組に復帰してた。綺麗な声でときどきすごいおばちゃんっぽいことを言うのが好きだ。今年はコンスタントにANAに乗ったので月替りのプログラムのほぼすべてを聞いたはず。曲の前後の両方で曲名を教えてくれるので、気に入ったらあとでYoutubeで確認などしやすい。今回は米津玄師「フラミンゴ」がよかった。




2018/12/16
午前は家族と公園へ。やらないといけないことは山積みだが、優先度が一番高いのは家族と過ごす時間である。
午後は翌日の授業その他の準備。

2018/12/17
藤沢の2限で授業。National CSIRTをハースの言う知識共同体と捉えると何が言えるかという講義をした。あいにくのお天気で出席者も少ない。

授業後に大学院の予算で購入した書籍の精算手続きのため事務室へ。書籍代も10万円近くなるので手続きは大事。

その後会社に戻って打ち合わせ2件。この日だけで5時間半くらい移動に時間を費やしている。はっきりいって「無理」である。

2018/12/19
朝一の電話会議と夜23時からの電話会議があり、一日が縦に長い。
先週台湾で聞いてきた話と、海外の取引先からの話に大きな食い違いがある。食い違いがあるということを確認できてよかったなと。

2018/12/20
APT10の実行犯を米英が指名手配。粛々と行われる手続きを横目にみつつ、しかしこのアトリビューションが間違ってたらどうしようという可能性に思いを馳せる。

昼過ぎに社内向けの勉強会講師。今年自分が外で聞いてきた話を総合して振り返った。National CSIRTという存在はこの2-3年驚くほど変化してきている。そのことを知ってほしいというのが結論である。

夜、取引先と忘年会。新オフィス近辺は店が多く、開拓しがいがある。

帰宅後、論文の校正。1月に刊行されるジャーナルの論文をこれにて校了。研究に関わる作業はできるだけパソコン上でするようにしているが、校正作業だけは印刷して、鉛筆片手に読み返す作業が欠かせない。

2018/12/21
米国防長官マティスが2019年に辞任との報道あり。ボブ・ウッドワードのFEARを読み終えたばかりだった。FEARに描かれるのは、大統領の思いつきの強烈さと、それに振り回されながらもアメリカが長年抱いてきた価値観を守ろうとするスタッフ、さらにそれをD.C.に巣食う病魔として除去しようとするスタッフ、肩書以上の権力を持つトランプ家の面々(クシュナー・イヴァンカ)のデスマッチである。ホワイトハウスという権力の中枢にいる高官たちがここまでジャーナリストに喋り、それが出版されるあたりに、政権の死に体ぶりが見て取れる。

話がそれたが、FEARの中でマティスは大統領をうまく操縦してきた閣僚として描かれている。マティスは正面切っての対決を避け、大統領の立場を尊重する。その上でアフガンからの撤退、在韓米軍の引き上げなど同盟や国際関係に悪影響がある決定を巧みに阻止してきた。閣僚が次々と変わる中、国防長官を務め続けてきたことがマティスの忍耐力の証拠だ。そのマティスがいなくなるというのである。寒気がする。

夜、サイバーセキュリティ規範に興味があるひと、これから興味を持ってくれそうな人との忘年会。他の幹事2名との波長があい、様々なバックグラウンドの人が集まって刺激になったし、自分も楽しくてついつい終電を逃す。


2018/12/22
1時過ぎに自宅着。3時頃やっと寝付いて朝から絶不調。結局寝てしまう。明日は忙しいので夜は20時過ぎに就寝。

2018/12/23
家族でお祝い。諸々、感謝の気持ちである。

2018/12/24
大学図書館へ自転車で。大学構内も結構広いので、自転車だと図書館の入り口までいけてトータルでは電車より早いし、なによりペダルを踏めば踏んだだけ進むというのが健康的で良い。
夜はお好み焼きを食べに行く。ツリーの下にプレゼントを用意して就寝。

2018/12/25
夜、急遽飲み会が入り四谷へ。

2018/12/26
学会で1日聞き仕事。イラストやのイラストの氾濫ぶりに驚く。
夜の懇親会まで出て懐かしい方々にもお会いする。




2018/12/27
大阪に行った元同僚と久しぶりに会う。2018年はIntel CPUの脆弱性で始まった。そのインパクトは今も健在で、来年は脆弱性ハンドリングの世界がいろいろと動きそうである。

2018/12/28
朝、子供と2人で新幹線に乗り実家へ。
夜、スマホでパソコン選び。母はWordやPowerpointをかなり使う人である。色々希望を聞いて、1)そこそこの性能の15.6インチのノートパソコン 2)HDDは容量は気にせずSSD 3)ちゃんとした外付けキーボードとマウスの組み合わせが良いだろうと考えた。目線が自然に合うようにノートパソコンの台も買う。

2018/12/29
両親と家電量販店、衣料品店をまわって用事をすませる。結局パソコンは店舗ではなく通販で買う。
午後は甥っ子達と遊ぶ。甥っ子はこの日のためにどんぐりを集めてくれていたようだ。この量は圧巻。


2018/12/30
届いたPCと付属品をセットアップ。プリインストールソフトの少ないメーカーを選んだので考えることがすくない。お歳暮代わりのスマートスピーカーも設置。
夜は下の弟と近所の飲み屋に。ふたりだけでいろいろ話す。3軒はしごしても23時位には帰宅。


2018/12/31
墓参りをしたり、翌日のソリ遊びに備えて防寒用品を買い足したり。急遽実家のテレビを買い換えることになり、再び家電量販店にいき、テレビを買う。

晩はごちそうを食べる。母と上の弟とその奥さんがいろいろ準備してくれていた。今年は祖父が2月に他界し、喪中ということであるが、子供がたくさんいると賑やかで関係ない。

夜はその父が残した数少ない資料の中の隊員名簿を読む。通信所の人員について病歴、趣味嗜好、信教、将来の希望、家族構成から家族の経済状況まで克明に記されている。「本人応集ニヨル家計ヘノ影響」という欄があって、読むと兵士だけでなく残った家族も戦争に苦しんだことが沁みるように伝わってくる。
早く寝ようと思っていたのに、惹き込まれて夜更かししてしまう。