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Feb 22, 2018

その国を知るためにタクシーから観察すること

50カ国以上を訪れた。毎回、時差ボケの頭で空港からホテルまでのタクシー(電車)に揺られる。流れる景色を見ながら「この国はどういう国なんだろうか?」「仕事がし易い街なのだろうか?」とただただボーっと見ている。
最近は、タクシーから見るだけで、ある程度その街のことを予想できるようになってきた(気がするので)、そのコツを皆さんにお知らせしたい。

たかがタクシー、されどタクシー

ポイント1:治安 「この街は安全なのか?危険なのか?」
外務省の安全情報はもちろん有益だが、実際の治安は現場に入ってみないとわからないことが多い。強盗が多発していることで有名な街は、少なくとも強盗が然るべきところに報告され、一部は検挙された上で、その事実が公表されている。その程度には治安が維持されているのである。
本当に怖いのはそういうネガティブな情報が報道されないような場所である。というわけで自らの安全のために以下の点を注意して見て欲しい。

・道行く人の構成
女性や子供が通りを行き交う街は安全である。それが夜なら、その街はかなり安全であると考えていい。
大きな荷物をもってゆっくり歩いている人が多い街は安全。荷物が少なく早足で歩く人が多い街は危険。
そして外国人観光客が闊歩する街は超安全である。

・建物の防犯対策状況
住人がどのくらい防犯に力をいれているかは治安の良し悪しのバロメーター1つ目である。
郊外の一軒家を例にとると、「家を囲う塀なし」「家を囲う塀有り」「家を囲う塀有り かつ 鉄条網や格子でデコレーションされている」の3パターンである。(稀に警備員がどの家にも常駐というケースも。)
一口に塀があるといっても、その高さや作りによって、推測できる治安の良し悪しは変わる。塀をみて飾りなのか、目線隠しなのか、侵入防止のためなのか考えていただきたい。

・自転車、車の停め方
自転車や車が路上に無造作に停めてある街は安全である。逆に車が一杯走っているのに路駐がほぼない街はちょっと警戒する。

・都市部と田舎の差
空港からホテルまでの例えば30分の道のりで、都市部と郊外で街の印象が大きく異る場合、治安は良くない可能性がある。貧富の差があることを示しているからだ。掘っ建て小屋が並んだ町並みが、3分走ると突然真新しい高層ビルに変わるみたいな街は要注意。
誤解している人が多いが、隣近所も全員が貧しい国は基本的に安全である。犯罪が多発するのは、貧富の差がわかりやすく見える場所だ。

ポイント2:合理性 「この国の政府はきちんと機能しているか?」
政府というか行政機関がきちんと機能していない国は意外と多い。それはある程度時間をかけて付き合わないとわからないことが多いのであるが。

・入国書類の複雑さ
飛行機の中で「入国書類のご記入はお済みですか?」と配られる小さな紙を入国書類という。あの入国書類はその国の政府の合理性を雄弁に語る。

入国書類がない、もしくはシンプルな国は合理的な国である。
入国書類を書くのが大変な国はだめな国である。個人情報をA4用紙に2枚分かかせるような国もある。名前をそれぞれ違う場所に3箇所書かせる国、宗教、母親の名前、肌の色など書かせる国もある。入国書類ですら必要な情報を取捨選択できてないのは、役所の仕事の効率が全体的に悪い証拠である。

道路に検問が多い国は警察が無能だったり、汚職がはびこっていることがある。
道すがらにやたら政治家や政党のポスターが多い街もよくない。権力の空白期間(選挙)が近いことを示唆しているから。
なども一応あげておこう。

ポイント3:景気 「この国の経済は上向きなのか?下り坂なのか?」
経済発展の順調さが簡単にわかるはずはない。しかし、いくつかチェックポイントはある。

まず道路の渋滞が激しい国は基本的に発展の途上にある。経済もまだ上向く余地がのこっていると考える。

道がガラガラ、空き家が多い、長年放置されている未完成の工事現場、平日の昼間から若者が道端で座って暇つぶしをしているなどの光景は停滞のサインとして捉えている。

道すがらによくある大型の看板の数や大きさはあまり使えない情報である。広告を誰が出しているかもあまり気にしない。ただ掲示物の鮮度だけはチェックする。二世代前のスマホの広告をだしていたり、Windows XPの広告だったり、1年前のマラソン大会の案内がまだ貼ってあったりは良くない兆候だ。

ポイント4:技術水準 「テクノロジーの活用がどれくらい進んでいるか?」
職業柄これは仕事のやりやすさに直結する大事なポイントなのだが、タクシー運転手の持ってるスマホなどからは推測することができない。
今のところ以下の3つをバロメーターとして使っている。

・送電線の見た目
幹線道路沿いには高圧線が並行して走っていることが多い。鉄塔の構造、電線の保護などは素人目にちゃんとしている国とそうでない国の差がわかりやすい。
基本的に日本みたいな見た目であれば、電力事情が安定していて、安定した電力が必要となるレベル程に技術水準が高い国と解釈している。電線がぐちゃぐちゃしている国は危うい。

・建設現場の状況
完成した建物からその国のテクノロジーを推し量ることは僕にはできない。大きいほど、新しいほどよく見えてしまう。そこで注目するのが建設中の建物の様子である。
足場が組んであるが、遠目からも「登りたくないな」とおもってしまう国は技術水準が低いと考える。

・建物に使われているガラスのサイズ
道路沿いの民家、ビル、商業施設のガラスの大きさを観察する。サイズの大きなガラスを使っている国は工業のレベルが高いと考える。
ガラスの厚さや透明度も結構、国によるバラツキがあっておもしろいのだが、タクシーからはとりあえずサイズだけ確認しよう。

たいていどの国でも街でも、「これを見よ」と言わんばかりの最新の技術を使ったビルだったり、施設だったりがある。それらは全体像を把握する上では役にたたない。電線や工事現場を見よう。

切り札「体感速度法」
長くなってしまったが、今のところ僕がタクシー車内からチェックするのは以上のような項目である。

到着が深夜で景色が確認できない、そもそも疲れ果てていて外を見る気がしない時もある。そんな時のとっておきの方法が、名付けて「体感速度法」である

まずは黙って前を見よう。そして音と揺れと前方の景色から、今車が時速何キロで走っているかを想像してみよう。
自分の感覚より実際のスピードが早かった場合、たとえば自分は時速80kmくらいだと感じて、メーターを見たら110kmで走っていたなどの場合。それは車や道路舗装がよく、ドライバーの運転が上手いからスピードを感じなかったということである。こういう国は大抵仕事がしやすい。

逆に時速80kmは出ているだろうと感じても、実際のスピードは時速50kmくらいだった場合、それはいろいろな点で日本よりも「大変な」街である。降りかかるトラブルを覚悟し、無事帰るんだという気持ちを強く持って、テンション高めにタクシーから降りるべし。

無事と成功を祈る。


タンザニアで1時間渋滞にはまり、尿意と戦った日

カンボジアのバイクタクシー

モントリオールのタクシーがテスラでテンション上がった時