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Aug 24, 2008

【奇跡の弟者】 弟者の華麗な食卓

極めて少数の読者にだけ好評な奇跡の弟者(おとじゃ)シリーズ第5弾。やはり兄者が小学校4年生くらいの時のお話。

 

 
※写真と本文は関係ありません。

 

華麗な食卓 弟者(大)の場合:

ある日の夕食前のこと。弟者(大)が前触れも無く泣き出した。何が起きたのかサッパリ分からないのだが、台所から母者がやってきて聞く。
母者「弟者どうしたの?」
さっきまで1人黙々と油粘土で遊んでいた弟者が泣きながら口元をぬぐう。その口元には灰緑っぽい色の粘土が!
母者「まさか粘土を食べた!?」

そう、弟者は粘土を食べた。そしてそのあまりの不味さに泣き出したのだった。凄いのは粘土を食べた理由だ。

  1. 夕食前なのでとってもお腹がすいていた。
  2. 粘土で遊んでいたら、いつの間にか「団子」を作っていた。丸々とした美味しそうな団子ができた。
  3. 粘土なのは知っているが、団子の形なので食べられる気がしてきた。
  4. 食べてみた。不味かった。泣いた。

粘土という現実の持つ意味が薄れ、団子という自分に都合の良い虚構との区別がつかなくなる。まるで連続殺人犯のような思考回路。哲学的ですらある。

この日から弟者(大)は粘土にチャレンジした食の革命家としてなを馳せる。しかし、弟者(大)の栄光は長くは続かなかった。しばらくして今度は弟者(小)が「セミの死骸」を食べたからである。

 

華麗な食卓 弟者(小)の場合:

三兄弟は色々な虫を飼っていて、セミはその中の一つだった。適当に世話をしていたからなのか飼育ケースの中で死んでしまった。そしてある日の夕食前、お腹を極限まで空かせた弟者の目にとまったわけである。

ちなみにこのとき弟者はセミの死骸を食し、その後しばらくの間、平気な顔で過ごしていた。「アレ?セミの死骸が無くなってる」という兄者の指摘で犯行が発覚したというわけである。セミの死骸を食べて、文字通り「何食わぬ顔」をしているところに大物感漂う弟者(小)であった。

 

華麗な食卓 兄者の場合:

兄者は優等生だったのでセミや粘土を食べたりはしなかった。さすがである。
しかし、そんなある日、兄者はスイミングスクールでいつも優しいコーチにこう言われたという。
「はーい、兄者君。鼻くそは食べちゃだめだからね~。」
団子ほどの独創性も無く、セミほどの勇気も無い。派手さは無いが、人としてとびっきり恥ずかしい。兄者はそういう星の下に生まれてきたようである。

 

わき上がる疑問:

果たして我々三兄弟はきちんとご飯を食べさせてもらっていたのだろうか?